ご開山五百回大遠忌と先住大和尚三十三回忌法要

平成15年5月25日に、安住寺ご開山さまの五百回大遠忌と先住の竹崖嘉雄大和尚の三十三回忌法要が行なわれました。

檀信徒の皆様、そして各御寺院様方のおかげをもちまして、盛大に厳修させていただくことができました。誠にありがとうございました。

早朝、導師様をお迎えするところです  
ご開山五百回忌の導師をお勤めして頂きました、九里慧明老師 横一列に並び、これから鳴らしものの合図でつぎつぎに焼香へと向かうところです。

先住忌法要は新潟市、宗現寺ご住職、乙川暎元老師に導師をお勤めして頂きました。この法要は出班焼香法(しゅつばんしょうこうほう)といって、曹洞宗に伝わるとても重要な供養儀礼です。

出班焼香法について

柏崎市田島 普広寺御住職 村田孝厳老師

どんな宗教も、それが宗教として成り立つには、拝む対象と拝む儀礼方法がなければなりません。仏教では、その儀礼方法として灯明をあげ、花や供物を供え、香を炊き、礼拝し、お経をあげて供養するのが一般的です。

このたび行なわれた出班焼香法はその供養儀礼の最も洗練された荘厳な法要です。
普通私たちが仏様(あるいは亡きひと)を供養するときは、式を執り行う中心のお坊さん(導師さまといいます)が一人で焼香し礼拝して供養します。

しかし、出班焼香法では集まったお坊さんが全員(大衆・だいしゅといいます)で供物をお供えし焼香礼拝して供養します。この方法はお釈迦さまとか達磨さま、ご開山さまといった特別のお方を供養する時だけ行なわれる行事ですので、普段私たちが目にすることはめったにありません。

西序班(武官) 西序班(武官)
西序班(武官) 東序班(文官)
西序班(武官) 西序班(武官)
疏(しょ)を読まれる小林信隆老師  

出班の班とは両序班列(りょうじょはんれつ)のことで、正面に向かって右側に並んだ方丈さまが東序班(文官)、左側が西序班(武官)で、導師さまが文武百官を引き連れて勤める、曹洞宗で最も丁重な大礼です。

式は三部より成り立っています。最初は、導師さまがお供物を一品ずつお供えし、その都度三拝が繰り返されます。御詠歌が唱えられる中、生前の師に仕えるようにまごころの籠った接待に心を打たれます。

第二部は出班焼香です。ハツという鳴らし物の音を合図に左右両班のお坊さんが一組ずつ進み出て、心を込めて焼香します。やがて「 大衆(だいしゅ)九拝(きゅうはい)」の発声で一同が礼拝します。礼拝は九回ですが、九とは「多く」ということで、尽きぬ尊敬と敬慕の思いを意味しています。

第三部はこの法要をつかさどるお役目のお坊さんによって、先師大和尚さまの徳をたたえ、先師の教えが広く行き渡ることを願って書かれた文章(これを疏(しょ)といいます)が読み上げられます。文章は四六調子の漢文体で書かれてあります。

疏の奉読が終わりますと最後の供養として皆でお経を読みます。お釈迦さまの教えを深く深く自覚することによって、私たちの現実の世界がそのまま寂光土となることを説かれた 法華経如来神力品 ほけきょうにょらいじんりきぼん というお経です。

厳かな法要を通して、私たちの心が清められ、その浄心の中で先師大和尚さまに出会えることはまことに意義深いことです。

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