安住寺だより

第45号

平成二十八年 盆

早いもので今年もお盆を迎えます。
この世に生きる私たちが、ご先祖さまや、今は亡き大切なご家族と触れ合うひと時。
生死を越え、時を越えた「つながり」「ご縁」を再確認する大切なひと時。
今年もふるさとへ帰省される方々を温かくお迎えしたいですね。


「熊本地震」発生より三か月

私たちは無事にお盆を迎えることができましたが、度重なる災難に遭われた方々、今もなお困難な生活を送る方々が大勢おられます。
熊本地震、またその後の豪雨被害にて、犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。



五月下旬頃の境内。花摘み地蔵(手前)と十一面観音(奥)

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誰にでもできる四つの心がけ「四摂法(ししょうぼう)」 四つの教え
「布施(ふせ)」「愛語(あいご)」「利行(りぎょう)」「同事(どうじ)」

「布施」(ふせ)
分かち合う心。物と心の両面を誰にでも分け隔てなく施しましょう。
皆の幸せを願い、まごころを込めて分かち合うことです。
「愛語」(あいご)
温かい心で語りかける慈愛の言葉。
清らかな水が湧き出る泉の様に、慈愛の心から湧き出す言葉の一つ一つが人々を和ませ、笑顔で今日一日を生きる支えとなります。
愛語はめまぐるしく移り変わる現代社会を正しい方向へ導く原動力であり、私たちは日常使う言葉を大切にしましょう。
「利行」(りぎょう)
自分自身の利益のみを優先するのではなく常に相手の立場に立つことを心がけること。
他の人々を思う慈しみの心が世の中を明るく照らします。
「同事」(どうじ)
お互いの存在や価値観を認め合いながら大きな海の様に広く受け入れること。
他の人の喜びも悲しみも自分のことと同じように感じ、共に寄り添い、支え合いましょう。

四摂法(ししょうぼう)の「摂」とは仏さまが人々を仏道へと導くための具体的な行動のことで、上に示した「布施」「愛語」「利行」「同事」の四項目です。

私たちはこの世に生きる仏として、この教えを大切に身のまわりの人々や、縁ある人々の心を安んじて日々の生活を送りたいものです。

曹洞宗の梅花流詠讃歌には「四摂法御和讃」という曲があり、その教えが歌詞に込められています。


四摂法御和讃

  1. 幸せ願いもろともに 財(もの)と法(おしえ)をわかちあい
    尽す真実(まこと)の営みに 人皆菩提(さとり)の道を知る「布施」

  2. 慈悲の心の泉より 湧き出す愛の言の葉(ことのは)は
    和みと笑顔永遠に生み 人の世動かす力なり「愛語」

  3. 己の益(さち)を先とせず 衆生(ひと)の為にとなす利行(わざ)は
    生きとし生けるものみなの 光となりて世を照らす「利行」

  4. 隔(へだ)ての心なきゆえに 流水(ながれ)の海に入るに似て
    ともに生きんと相集(あいつど)い 励まし暮らす爽やかさ「同事」

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編集後記

春から小学校に通う長男が最近になって、ようやく自転車に乗れるようになりました。
近ごろイライラしたり怒りっぽくなって手を焼いていたところでした。反抗期かしら? と。

今まで出来なかったことが練習によって出来るようになり、努力が報われたことの喜びを体中で表現していました。よほど嬉しかったのでしょう。ずいぶんとご機嫌になり、ほっと一安心です。

成長するにつれて、時には努力が報われないことも知ることになるのでしょうけど、まぁそれも必要なこと。孫とは対照的に私は歳をとるにつれて、今まで出来たことが、少しずつ出来なくなっていくことに不安を感じつつも、まだしばらくは元気で成長を見守りたいと願うばかりです。暑い季節になりました。体に気を付けてお過ごしください。

寺族 玲子

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