安住寺だより

第43号

不動山 安住寺 二十一世「退董式」並びに二十二世「晋山式」 
平成27年10月24日~25日

退董(たいとう)のご挨拶

薩美歸一

昨年十月、檀信徒の皆様のおかげをもちまして、かねてより思案しておりました大行事を盛大に行うことが出来ました。

住職の座を子息祐元方丈に譲り、退任の法要では、ご本尊様にお礼のご給仕を差し上げ、檀信徒皆々様の家門繁栄を祈念いたしました。

思えば43年の長きに渡って住職を勤めてきた間に数々の法要や事業へのご賛同、ご協力頂きましたこと、厚く御礼を申し上げます。

私にとって最後の法要中には「本堂の屋根改修」「庫裡の新築」「開創五百年の大法要と坐禅堂増設」また昨年の「ご本尊及び諸仏の大修繕」等々、更に近年二度の大地震で難渋したことなどが走馬灯の如く浮かんでまいりました。

教区長老師からは、多年宗務所の役職や、所長も務めたことへの慰労の言葉を、また副檀頭小山貞雄様からも、お檀家を代表して身に余る慰労の言葉を頂きました。

最後に妻の玲子と共に孫たちから花束の贈呈を受け感激に言葉もままならず大拍手の中、43年前にくぐった大玄関から本堂をあとにしました。

禅宗では、退董(たいとう=引退すること)した方丈の敬称を古来より東堂(とうどう)と呼びますので、これからは東堂さんと呼んでください。

幸い体調も良く、持病の喘息も落ち着いておりますので、これからは若い住職を補佐し、じゃまにならないよう、たまには家内とのんびりと旅行を楽しんでみたいと思っております。

せっかちでわがままな住職でしたが、お檀家様や、有縁の方々に支えられての住職でした。
万感の謝意を申し上げ退董のご挨拶といたします。長い間ありがとうございました。

新しい年が皆様にとって良い年であるようお祈りいたします。
平成二十八年 元旦

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安下処(あんげしょ)を出発し 晋山行列(しんさんぎょうれつ)

檀家総代、小川孫宏さんと ご親族の皆さん

「新命和尚安下処(しんめいおしょうあんげしょ)」小川家にて

安下処とは新たに住職となる者(新命和尚)が寺に進むため身支度を整えて決意を新たにする所です。 檀家総代を務める小川家にて先祖代々の供養をしてからお茶をご馳走になり、安住寺の山門へと向かいます。(晋山行列)

お稚児(ちご)さんたちの先導で安住寺の山門に到着

昨晩の雷雨がうその様に晴れ渡り、かわいらしいお稚児さんと、ほら貝の音に導かれて安住寺の山門へと向かいます。 稚児行列とは子ども達の清らかな心に神仏が宿ると考えられ無病息災や、子どもが心豊かに成長してほしいと願い遠い昔から行われています。
山門に着くと、寺に入る決意を述べて本堂へ向かいます。

安住寺の山門に到着「山門法語」

このあと本堂へ上がり、晋山式が始まります。

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法戦式(ほっせんしき) 「悦翁寺徒弟 風間一成和尚」

「法戦式(ほっせんしき)」 ~仏法の戦い 禅問答の式~

修行僧の首位である首座(しゅそ)が声高らかに同輩・先輩の修行僧と禅問答を繰り広げる法戦式(ほっせんしき)。
修行僧の先頭に立つ「首座」を見事に務めたのは悦翁寺徒弟、風間一成和尚。
二日間の法要の要となる式で曹洞宗の僧侶として一度は必ず通らなければならない関門であり、大切な儀式です。


首座和尚が、自分のお師匠様に対してお拝をする大切な場面

安住寺 長男 一帆(かずほ 6歳)

修行僧の一人、「弁事(べんじ)」という役目を安住寺の長男、一帆が務めました。練習を始めたころはまだ平仮名も読めず、心配でしたが少しずつ問答を覚えて無事に役目を果たすことができました。

大学受験を控えた高校三年生「風間一成和尚」お見事でした

首座寮にて記念撮影
(中央)首座、悦翁寺徒弟、風間一成和尚 
(左)首座本師、悦翁寺ご住職と奥様
(右)書記和尚、清月寺副住職  弁事、安住寺長男、一帆

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晋山式(しんさんしき)

大雷上殿(だいらいじょうでん)。
本堂の大太鼓が雷の様に鳴り響く中を、山門より本堂へと向かいます。

「大雷上殿」で法要が始まります  大太鼓をたたく真福寺の若様


本堂へ上がり、ご本尊に新任住職としてご挨拶。

次に仏法と寺を護持する仏さまに檀信徒の家内安全、諸縁の吉祥を祈り、達磨様に法語をお唱えします。続いて開山堂にご挨拶と、儀式が行われます。

その後、ご本尊に幕がかかり、段上に上がると法語を唱え、問答が始まります。 晋山とは、山(寺)に晋む(進む)との意味で文字通り新たに住職となる者が寺に入るということです。

宗務所長、妙智寺ご住職より「住職辞令の宣読」

ご本尊に幕がかかり、段上にて問答が行われます

晋山の儀式が終わり、祝辞を読まれる護持会長、小川孫宏さん

晋山式を指導し、その証明をされる雲門寺、前川宣英老師(右)

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寺族忌(じぞくき)「薩美ミチ」十七回忌法要 導師 常福寺ご住職

「寺族忌」
晋山式前日の24日「薩美ミチ十七回忌」の供養を東本町、常福寺、牧禅一ご住職にお務めいただき、親族関係者及び役員さん方にご焼香を賜りました。


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檀家信徒総回向

晋山式が無事に終わり、二日間の大行事の最後は檀信徒各家先祖代々の仏さまに感謝の供養を務めます。

新たに住職となって初めて務める法要
24日、25日と二日間に渡り行われた法要の最後は檀信徒総回向。
感謝の気持ちを込めて檀信徒各家先祖代々の供養、また、このたび篤志寄付を頂きました方々の志す精霊を供養いたしました。
誠にありがとうございました。

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法要が終わり 祝宴会場へ

祝宴「メトロポリタン松島」
長時間にわたる法要が済んで、ようやく開宴し、宮ノ下檀信徒の矢代絹代さんと柏崎民謡保存会の皆さんに演舞をご披露いただきました。
遠方からも多くの方が出席してくださり久しぶりの再会に大いに盛り上がり楽しい宴会となりました。
皆様、ありがとうございました。

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編集後記

このたびは、檀信徒の皆様にご支援ご協力を頂き、寺院にとって最大の行事を盛大に行うことができました。

安住寺の長い歴史において大きな節目といえるこの行事を皆様と共に成し遂げることが出来ましたことは、この上ない喜びであり、改めて大きな責任を実感する次第です。

今後、地方においての寺院運営は、非常に困難な時代となることは避けられないのが事実ではありますが、皆様の期待、願いに少しでもお答えできるよう勤めて参りたいと思います。

法要に出席いただけなかった方にもこの度の慶事をご報告いたしたく、たよりを編集しました。

皆様に心より感謝申し上げます。

薩美祐元

写真撮影
林泉寺副住職 笹川宗行
宮ノ下檀信徒 小山 博
西ノ入檀信徒 目崎 毅
ありがとうございました(敬称略)

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