安住寺だより

第36号

暑中お見舞い申し上げます

今年もまた昨年同様暑い夏がやってきます。皆様、くれぐれも熱中症にならないようにご自愛下さい。

平家物語の冒頭に、

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響き在り
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし・・・

・・・沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるというこの世の道理を表している・・・ 有名なお話ですね。

沙羅双樹とよく似た木、夏椿が七月に入り、咲き始め、数日後に見るとそれはきれいに杉苔の上に落ちていました。
せめて二、三日は枝に着いたままで、と願うのは私だけではないでしょう。

人生は、二度くり返しは出来ません。
我が命、二つ無し、三つ無しただ一つなり
無常の中に人それぞれの人生あり
後悔の少ない人生を歩みたいものです。
そして少しでも、誰かの為にと心がければ最高の人生となります。
真っ白な無垢の花、お釈迦様も、泥中の蓮華と同様に愛でたと言われます。(ハスは泥のなかから葉をのばし、美しくやさしい花をつけます)
この二つの花が咲くのが七月です。
千葉県の検見川で、大賀博士が古代遺跡の調査中に発見し蘇ったというまぼろしの蓮。
佐渡の大蓮寺さまから頂いた小さな蓮根が安住寺にも育っています。盆内の頃には何ともいえないやさしい花が今年も咲いてくれるでしょう。

     

住職

「検見川の大賀ハス」
2千年の時を超え弥生時代以前のハスの実が発見されて現代に蘇ったそうです

真っ白い花が咲いたかと思うと・・・春の夜のはかない夢のようなもの
無常の美しさでしょうか?

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鯖石街道観光まちづくり会議一行が来山

鯖石街道観光まちづくり会議主催の一行三十名が新緑の六月七日に来山されました。 お寺の沿革や木喰上人の三十三観音の説明をし、坐禅体験希望者には禅堂にてしばし足を組んで坐禅のまねごとをして頂きました。

また今年は全国木喰会の新潟県ツアーがあり会長さんを始め全国木喰会会員さんご一行が来山されるなど、たくさんの方々がお見えになりました。

木喰仏は微笑仏と尊称されますが、訪れる方は上人の和歌のように
みな人の 心をまるく まん丸に
どこもかしこも まるくまん丸

どなたもにこやかな笑顔を残していかれます。

全国木喰会の皆さん

鯖石街道新緑ウォーキング
「鯖石川沿いの歴史めぐり歩き」参加者の皆さんお疲れ様でした


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「三回忌」東日本大震災追悼の旅

梅花流全国大会が仙台市で開催 ふるさとを追われる方々の思いを胸に・・・

津波による大変な被害のあった荒浜地区に大きな観音様が建立されました。
高さ約9mの観音様ですが、この地域をおそった津波はそれを上回るほどの高さだったそうです。この地区は集団移転の対象となり、居住は禁止されました。

仙台市ではおよそ二千世帯が移転をせまられ、この荒浜地区の八百世帯もすべて含まれています。 行政の決定とはいえ、「帰りたい、ふるさとを守りたい」という願いを感じずにはいられません。荒浜地区再生、希望のシンボルとして黄色いハンカチが風にゆれていました。

看板には移転を希望する人も、荒浜に住み続けることを希望する人も、「ふるさと荒浜が大好きです」といったメッセージが書かれています。

予定ではこの場所は海岸公園になるそうです。安心して住める場所への移転を希望する人たちにとっても、ふるさとを想う気持ちは強くあるのが当然で、復興への道のりも簡単なものではないと、あらためて考える機会になりました。

「荒浜慈聖観音」仙台市荒浜地区
観音様が海を背に、二百人近い方々が犠牲になった荒浜地区を見つめています
慰霊碑には犠牲者の方々のお名前が刻まれていました(荒浜地区は居住禁止区域になってしまったそうです)

全国から集まった梅花講員が追悼奉詠

仙台で活躍する歌手、佐藤宗幸さんも自身の体験を語ってくれました

観音様が見つめるのは基礎部分だけが残された住宅地の跡です そこに「ふるさと」を想うメッセージが・・・
ここに掲載し紹介します

暮らし、文化を守り育む再建のあり方を荒浜の住民の手に
希望の黄色いハンカチ大作戦は仙台荒浜のふるさと再建を願う住民と再生を応援する支援者のとりくみであり、仙台荒浜を応援しながら日本全国のふるさと再生への気分を分かち合う希望のプロジェクトです。
この地は松林に野ウサギなどの小動物が生息し、池ではフナやコイが釣れ、初夏の砂浜にヒルガオが咲き「日本のふるさと」の原風景と「くらし」がありました。
この地 仙台荒浜から「くらし」をなくす事は、歴史、文化を失う事でもあります。
仙台市沿岸部は災害危険区域に指定され、今まさに「くらし」を失いかけています。
我々荒浜住民の有志は「ふるさと」を守り再び「くらし」をこの地 仙台荒浜で再建をはかりたい一心で活動しております。

(平成25年5月29日 仙台市荒浜地区にて)

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団体参拝旅行「南三陸町慰霊法要と松島の旅」柏刈・小国寺院主催

6月7日、総勢49名は松島を目指し出発。午後2時に塩釜港にて船にのり、「松島湾は大小二百余の島がありその島が防波堤となって日本三景の松島は被害が少なかった」とガイドさんのお話。その中の大きな島には900人余の人々が生活をしていたが、普段の防災訓練が行き届き、高台の小学校に避難したため浜辺の家屋は全壊しても一人の犠牲者も出さなかったとの説明に皆、感心しました。

翌日は南三陸町へ。あの日テレビで見た大津波の映像、人も車も家も船も押し寄せる津波の猛威を思い出します。三階建の鉄骨だけが残った防災対策庁舎以外は、かつての住居やお店、会社等々の基礎が少し形を留めているのみ。あの日女性職員さんが高台への避難を繰り返し呼びかけ、自分の命と引き換えに多くの命を救いました。当時この建物屋上で助かった職員は、たった10人だけだそうです。

ささやかな祭壇に供物を供えて読経し、ご詠歌の奉詠を。昨日訪れた松島湾上の900人余の生存という奇跡と、三陸の4600人余の犠牲者の無念を実感し、誰の顔にも追悼の心がにじみ出てくる様です。
ご冥福を祈ると同時に、東日本大震災の早期復興を願う思いを新たにした旅でした。

鉄骨だけの姿となった防災対策庁舎
あの日、多くの職員が犠牲になりました。
この辺りの建物はほとんど残っていません。

「防災対策庁舎跡地にて慰霊法要」
↑降りしきる雨の中、参拝団の団長、目黒大峰ご住職が導師をつとめ、読経に続き、ご詠歌を奉詠し、犠牲者の方々をご供養しました

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盆内 施食(せじき)法要のお知らせ

地区ごとの日程は次の通りです

7月27日(土)高柳地区
  28日(日)南鯖石地区
  29日(月)西ノ入地区


各地区の日程に都合の合わない方はご連絡ください。
昔から親しまれてきた大切なお盆の行事です。
今年も各家の先祖供養をしましょう。
また、新盆を迎えるご家庭の皆さまにも特にお参りしていただきたいと思います。

11時  施食法要・法話
12時  おとき

※とうば供養をされる方は、お早めにご連絡ください。
0257(27)2041 安住寺

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編集後記

新緑まぶしく爽やかな季節はいつしか夏真っ盛りに。めまいがするような暑さには、かないませんね。年のせいでしょうか? しかし孫たちは保育園、小学校にそれぞれ毎日楽しそうに通います。暑くないのでしょうか? 若さとは素晴しいですね。

送り迎えは私の毎日の日課で、途中で会う人達は笑顔で声をかけてくれます。こんな小さな子ども達が地域にとって大きな存在であることを実感します。ご近所の高橋さんは我が家のために畑で野菜を育ててくださいます。孫たちはその野菜の成長が楽しくて野菜を好んで食べるようになりました。

「キュウリが大きくなったよ!」「田んぼのイネがのびたね!」いろんなことに感激するのです。若さとは感激することなのかしら? 孫たちから「若さ」をわけてもらいつつ、この夏を乗り切ろうと思います。

寺族 玲子


山門前の野菜畑にて収穫です。
早起きして自然の恵みと感激をいただきます。
高橋さん、いつもおいしい野菜をありがとうございます

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