安住寺だより

第34号

年頭にあたり、皆さまにとって本年が良い年となるようお祈り申し上げます
東日本大震災からもうすぐまる二年、今年が三回忌法要の年となります。
早期復興を願いますとともに犠牲になられた方々のご冥福をあらためてお祈りいたします。

平成二十五年 元旦

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初雪があっという間に・・・

12月1日の朝、降り出してあっという間の雪景色となりました。


境内はこれからしばらくの間、雪の下で春を待つこととなります。
3年続いた大雪ですが、さて今年の冬は・・・(12月9日から大雪になりましたね)
みなさん雪に負けずにがんばりましょう。


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講演会「越後の昔話を聞く会」

11月13日、小国町 高橋 実先生をお招きして、講演会「越後の昔話を聞く会」を開催いたしました。
「むかぁーし あったてんがのぉー」
この地方に伝わる昔話の数々は、越後弁でゆかいな落語を聞いているようで、ご来場の皆さんには笑いの絶えない楽しいひと時となりました。

「むかぁーし あったてんがのぉー・・・」 高橋 実先生の「越後の昔話を聞く会」

先生のご紹介
昭和15年 小国町出身
小説「雪残る村」が第52回芥川賞候補となる。
地元の中学、高校にて教職を務め定年退職後も文学者として、地域おこしの語りべとして、民話、昔話、越後瞽女唄の研究では第一人者であり、各地での公演はもちろん、NHK新潟放送「民話ざくざく」など多数出演されました。
日本を地方から元気にするため、今も活躍中です。

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綾子舞 奉納 市内 木沢「花栄寺」様にて

花栄寺様が開創500年を記念して本堂で綾子舞を奉納されました。
晴天にも恵まれ300人近い人が見入る中、本堂のご本尊を背景にした舞台は、すばらしいのひと言です。
遠方からかけつけた熱心な方々も、「お寺の本堂での講演は初めてのことで感激しました」と語っていました。

綾子舞とは
今からおよそ400年前の慶長年間に伝わったといわれ、越後の雪深い山里、鵜川の女谷地区で、高原田集落、下野集落の二か所で保存伝承されてきました。
また江戸時代には折居集落にも座元があり、江戸へ興業に出かけるほど盛んだったといわれています。

その伝来にはいくつかの説があります。
①越後守護、上杉房能が長尾為景に滅ぼされ、その時奥方の「綾子」は加納山城主の毛利家によって鵜川女谷にかくまわれた。その時に綾子が伝えたという説。
②およそ五〇〇年前に、京都の北野天満宮の巫女、文子(あやこ)が舞を伝えたという説。
③江戸中期に京都から来た狂言師夫婦が囃子舞と狂言を伝えたという説。
この他にも伝来については様々な説があります。
綾子舞の構成
綾子舞は三種類の芸能から構成されています。
①女性が舞う小歌踊(こうたおどり)
小歌は室町時代後期に流行した室町歌謡で、歌のあとには囃子(はやし)ことばが入ります。優雅な踊り姿が印象的です。
②囃子舞(はやしまい)
猿若芸の系統を汲むもので、素朴さや滑稽な所作なども演じられます。
③狂言(きょうげん)初期歌舞伎以前からのたいへん古い狂言で、最古の狂言本「天正狂言本」にのっている演目もあります。

わが国の伝統芸能の中核は歌舞伎であり、その本質の究明には様々な努力がなされてきましたが、その研究の最初に必ずと言ってよいほど、この綾子舞が議論されるそうです。
芸能史上の歴史的価値はもちろんですが、その振りの美しさこそが最大の魅力となっています。
毎年9月の第二日曜に現地公開されます。
昭和51年に国指定重要無形民俗文化財となりました。
柏崎市綾子舞保存振興会資料等より抜粋

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「雪の中に咲く梅」 雪裏(せつり)の梅花(ばいか)

曹洞宗のご詠歌は「梅花流」(ばいかりゅう)といいます。
その言葉の由来は道元禅師の、お師匠さんであった如浄(にょじょう)禅師の言葉がもとになっています。この方が仏道の根本を詠った詩の中に、「雪裏の梅花」(せつりのばいか 雪の中に咲く梅)という言葉が出てくるそうです。道元禅師は、この「雪裏の梅花」という言葉がとても好きで、その著作には「梅花」と題する巻があり、この言葉がなんども出てきます。
では道元禅師は、なぜこの言葉が好きだったのでしょうか?
それは、その中に仏法の道理が見事に語り尽くされているからです。

この言葉は、「春は人が気づく前に、雪をかぶってひっそりと咲いている梅の花の中に、もうすでに来ている。そのつぼみの中から美しい顔をのぞかせている」ということを語るものでした。ここで道元禅師は菩薩道に生きることを教えています。

「春が、雪の中の梅花にいつのまにか来ているように、仏が見たさとりの世界、つまり仏の心とは、自分が気づくより早く、すでに自分の歩む菩薩道の中にこもっている」と。
春日佑芳師「雪の中に咲く梅」より引用させていただきました 平成12年梅花新聞に掲載

たとえ厳しい現実においても、与えられた環境のなかで、自分にできることを精一杯やる、そこに心の安らぎが生まれる・・・ということでしょうか。

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新年の行事予定

涅槃会(ねはんえ) 「だんごまき」
3月10日(日) 午後1時半より
法要・だんごまき 皆さまぜひおいでください。
(2月15日はお釈迦さまの命日です。安住寺では毎年3月15日に近い日曜を予定)
春の彼岸(ひがん)法要(ほうよう)
3月20日(水)春分の日
先祖供養・年回法要
午前11時より法要・おとき
(とうば供養をご希望の方はご連絡ください)
降誕会(ごうたんえ) 「花まつり」
5月8日(水)
お釈迦さまの誕生日を祝い、本堂に甘茶(あまちゃ)を用意します。 どうぞお参りください。 (4月8日がお釈迦さまの誕生日です。安住寺では月遅れの5月に行います)

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編集後記

孫たちが通う保育園で発表会がありました。 少人数でも園児たちは元気いっぱい、かわいらしく観客の前でも堂々と歌やダンスで笑いと感動を与えてくれる、毎年楽しみにしている行事です。
その中に「かさ地蔵」の劇がありました。
だれもが知っている心温まる昔話です。
「なつかしい話だな」と思い、園児たちのあどけないかわいらしさに見入っていました。

その日の夜、5歳の孫が「おじいさんのかさは一つも売れなくてかわいそうだったけど、やさしいおじいさんは、お地蔵さんにかさをかけてあげて、良いことをしたんだよ。だからこれでよかったんだよね」と、なつかしい昔話を思い出させてくれました。話の内容と意味を園児たちにわかるように教えて下さる先生方には感心します。

最近気になるニュースが一つ。被災地の震災がれきを拒否する方たちの話です。安全と分かっても拒否する理由がよくわかりませんが、とても残念な気持ちになります。「絆(きずな)」という言葉に親しみや共感を覚えつつ、その一方では・・・冷たい現実です。

きびしい生活にも誰を恨むこともなく、困っている人を助けようとする心の優しいおじいさんの昔話は私にとって大切なメッセージとなった気がします。

新しい年が少しずつでも良い年となりますようにお祈りいたします。

寺族 玲子

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