子安地像菩薩半跏像

子安地像菩薩半跏像 
平成11年7月千葉県佐倉市住・小山一郎氏寄進

このお地蔵さんを建立された、千葉県佐倉市在住の小山一郎氏(石曾根宮ノ下・糀屋さんの出)は父親の米作さんが農家の次男坊として生まれ、若いころから丁稚奉公や出稼ぎで母と苦労しながらも、早稲田大学まで進学させてもらったそうです。

そのお陰で今日の自分があり、職を辞した今、振り返れば、早や亡き父親の年に近づいていました。その時ふと晩年に父が、しみじみ漏らした一言、『田舎に帰りたい、帰りたい』と言っていた言葉、その思いを果たせないまま八十七歳でこの世を去った父、そのことをふと思い出して、それで両親の故郷に思いを寄せて、「感謝の念と世に生れし人々が皆元気に成長されんことを念じて」子安地蔵尊の建立を思い立たれたそうです。

克って父親の生家の菩提寺でもある安住寺にその思いを申し出られて、いろいろと、お話の上、今日当山の参道登り口に建立されたお地蔵さんがこの写真であります。

この石造の仏師は長岡和慶師と申しまして、現在愛知県の岡崎市にアトリエ工房をもって、現在五百余体の石仏を世に送られたと言われています。そのうちの代表作には、大英博物館に童(わらべ)地蔵尊が収蔵され,また国内においては延暦寺、東大寺、高野山、永平寺、三井寺などの名刹にも多くの石仏が納められています。

子安地像菩薩半跏像地元高柳の小林石材店を通じて、建立の趣旨を伝えました所、こころよく快諾され待つこと一年半、構想もまとまり、同像は身丈百三十センチ、岡崎産の三州銘石花沢石にそれぞれ表情の異なる子供三人を配置し、右手に錫杖、左手に宝珠を持ち左足を垂れた半跏で、岩座に腰掛けた形となり、また左足の足元には蓮華が彫られております。この像を小林石材店によって、基礎を浅間石の自然石で組み合わせて、重厚感のなかにも、親しみ易い微笑みのあふれるお地蔵様が優しく見守っていてくださいます。

めでたく開眼の日には生家の主人を始め親族、近隣の方丈様、ご詠歌講の方々から助縁を頂き盛大に、亡きご両親様を偲んで開眼法要を営みました。その像の脇には、施主の和歌一首


ふるさとに向かいて祈る父母の姿しのびて訪れにけり・一郎

この碑が寄り添うが如く建っています。


【開眼供養・平成十一年七月二十五日】
菩提寺の参道を通るとき施主の心を我が心として、いつまでも親しく、手を合わせてお参り下さい。

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