安住寺だより

第54号

九州地方の豪雨被害に心よりお見舞いを申し上げます

「命を守る行動を・・・」
七月二日、気象庁は「平年七月の一か月分を超える大雨が一日で降る恐れがある」と発表し、最大限の注意を呼びかけました。
昨年の「西日本豪雨」に続き、またしても大変な被害がでているのはご承知の通り。
自然災害の脅威にさらされるたびに、人間の無力さを痛感せざるを得ません。
これ以上、被害が大きくならないことを祈るばかりです。
令和元年七月 安住寺


~沙羅双樹の花の色・・・

6月、安住寺の大般若法要を迎えた朝、子どもたちが観音さまに花を供えに行くと、後ろにある夏椿の花が散らばっているのに気づき不思議そうに言いました。
「花が咲いたのに全部落ちてる。たぶんあの木は枯れてるから切った方がいいよ」
「いや、たぶん虫に食われたんだよ」
シャラノキ(夏椿・なつつばき)の花は咲いたかと思うとすぐに散ってしまいます。
「~諸行無常・・・」 すべては 移ろい 変わってゆく 暑さに負けずに 日々、精一杯生きていきましょう。

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お盆参り
盆内(ぼんうち) 施食(せじき)法要のお知らせ

※とうば供養をされる方は必ずお電話ください
地区ごとの日程は次の通りです

七月 二十七日(土)高柳地区
   二十八日(日)南鯖石地区
   二十九日(月)西ノ入地区

各地区の日程に都合の合わない方はご連絡ください。(おときの用意があるため) 
昔から親しまれてきた大切な行事です。
今年も各家のご先祖供養をしましょう。
また、新盆を迎えるご家庭には特にお参りしていただきたいと思います。

十 時  法 要
     法 話
十二時  おとき

0257(27)2041 安住寺

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まごころの祭典 ご先祖さまが里帰りするお盆

この世に生きる私たちと、今は亡きご家族がふれ合う大切なひととき
久しぶりに故郷に集まった家族や親族と共に過ごす楽しい語らいの時間を、生死を越えた「つながり」の尊さを再確認しながら大切に過ごしたいものです

盆はうれしや 別れた人も  はれてこの世に 会いに来る

お盆の期間、人々はご先祖さまと再会するのです
私たちはご先祖さまを、今は亡きご家族を招き共に過ごします
ご先祖さまからすれば、毎年一度、なつかしい我が家へ帰り、楽しい数日を過ごすのです
目には見えなくても 心には見えるはず
お花を供え お食事を供え 語りかけ・・・
皆で 良いお盆を過ごしましょう

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東堂より ご報告

このたび、めでたく喜寿を迎えるにあたり、大本山總持寺さまより夫婦共々ご招待をいただきました。
喜寿の祝いと多年の本山護持の慰労を兼ねた盛大な法要が行われ、誠に光栄の至りに存じます。
長年、私どもを支えてくださいました檀信徒の皆様方に、改めて感謝申し上げます。

令和元年五月十四日 大本山總持寺「祝寿会」にて
東堂 薩美帰一
寺族   玲子

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最近の気になる話題

 裏山を見上げて思うこと 「提案型集約化施業」について

以前の便りで木材の利用や山林についての話を掲載したところ、複数の方々とその話題になりました。 「山林を所有しているが長年放置したまま。気になってはいるがどうしようもない」という方がほとんどのようです。

「日本の木材自給率は上昇している」
しかし、林野庁の資料を見ると輸入丸太は激減しており、国産材の自給率は二十三年から七年連続で上昇しています。ただ、木材と燃料としての輸入量が多く、そのため国産材は価格が低下したままなのでしょうか?
「提案型集約化施業」
今年の正月に柏崎森林組合の組合長を務める行兼地区の石塚正好さんから組合だよりをいただくと、「提案型集約化施業」ということについて掲載されていました。 「分散して放置されている森林を集約化して所有者に施業の提案を行い、地域で一体的に森林整備を進めること」とあります。 そのメリットとして、「集約化して施業団地化することにより、低コスト、効率化、また補助金の活用により所有者に負担がかからない」ということで、平成二十五年から進めているそうです。 ぜひこの事業がうまくいくことを願っています。 近い将来、国産材の価格が上昇するという望みもありますし、日本の国土は六割が山林ですから、ぜひ有効に利用して整備をし、次世代に残したいものです。 
「提案型集約化施業」とは(「提案型集約化施業ポータルサイト」より掲載)
国産材の価格が国際的な木材価格と同等になってきており、林業が自立した産業になるためには、機械化による労働生産性の向上が重要になってきます。林業の場合、機械を有効に利用し、事業量を確保するには路網整備が不可欠です。効率的に路網を整備するためには、小規模な林地を面的にとりまとめる必要があります。そのため、森林所有者へ路網整備を含めた施業の「提案」を行い、林地を「集約化」することが必要になってくるのです。
提案の内容は、長期的視点に立ったものであると同時に、透明性の高いものである必要があります。このような地域森林管理を実現する方法のことを「提案型集約化施業」といいます。
所有規模や齢級構成など地域の林況により施業団地の規模・形態は異なりますが、将来にわたり一体的かつ計画的に施業が行えるよう集約化をおこなうことが重要です。

6月 衣替えの季節 「諸行無常で新しく」

この時季、あちらこちらで夏椿が花を咲かせています。別名シャラノキ。そう、いわゆる沙羅双樹のことです。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢の如し。たけき者も遂には滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」

『平家物語』冒頭の言葉です。

実際、シャラノキの花は咲いた先からすぐに散っていってしまいます。白く美しい花が、一晩もすれば散ってしまうのです。シャラノキを見上げると、白い花々が美しく咲き誇っています。そこから目を転じれば、足元一面に花びらが散っていることに気が付きます。この光景を眺めて、昔の人はしみじみと思ったのでしょう。

「シャラノキの花が咲いては散っていくように、いつまでも続く栄華など無いのだなあ」と。
沙羅双樹の下で亡くなられる際、お釈迦さまは言い遺されました。「全ては移り変わります」と。そのお言葉通り、常なるものは無く、全ては移ろっていきます。季節もこれから初夏、そして暑い夏へと姿を変えていきます。それに合わせて、シャラノキも葉を青々と茂らせて、夏の日差しを受け止める準備を進めることでしょう。

「諸行無常」とは、「変わる」ということ。「変わる」とは、「新しく別な何かになる」ということ。変わり続ける限り、私たちは常に新しいのです。6月1日は衣替え。この日を節目に、制服が夏服へと替わる学校や官公庁も多いようです。シャラノキが花を咲かせ、散っていくのは、ある意味「衣替え」だと言えるのかも知れません。シャラノキように、私たちも衣替えしてみませんか。季節に合わせてシャラノキが常に新しく変わっていくように、私たちも新しく変わっていきましょう。「諸行無常」の教えの通りに、新しい自分を精一杯に生きていこうではありませんか。
文:上月 泰龍  イラスト:遠田 旭有

      

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編集後記

早いもので季節はあっという間に春から夏へ。
五月、バス停脇にツツジの花が咲くころ、穏やかな日差しが心地よいのもつかの間、しだいに初夏へと移り変わります。
青々と育ち始めた田んぼの稲がとてもきれいです。農家の皆さんのおかげで里山の風景は美しく保たれています。なんてすがすがしいのでしょう。
梅雨入りして、ある朝、小学生の孫と玄関を出ると孫が「うわぁ」と飛びのきます。足元を見ると大きなムカデが! しかしよく見ると弱って死にかけている様子。ひと思いにとどめを刺そうかしら、と身構えたその時「なんだか かわいそうだね」と孫が一言。
そう言って手を合わせ頭を下げました。あら意外とやさしいのね。
とりあえずそのままにしてバス停に向かいましたが内心、(孫の前で殺さなくて良かったな)と思い、ほっとしました。
今年ももうすぐお盆を迎えます。すべての命は互いに支え合い、共に生きているその喜びを実感し、ご先祖様と過ごす命の祭り。
これから夏本番、皆さま健康に留意して良いお盆をお過ごしくださいね。 寺族 玲子

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